鮎は縁起の好い魚?




澄み切った川を好み、華麗に泳ぐ姿から「清流の女王」とも呼ばれるが、その
歴史はいずれの魚にも負けず劣らず長く、古い。その名前は古事記にまで遡るこ
とが出来る。
神武天皇が若い頃、九州から東征して国々を平定する中で、宇治高倉山で神の
お告げを受け、酒を入れた土器を川に浮かべて、「この国を治めることが出来る
ならこの川に棲む魚はことごとく酔って浮かべ」と祈祷した。すると川の魚が全
て浮かび上がり、これを吉兆として勇気づけられた一軍が平定事業を成し遂げ、
神武天皇は正式に即位したといわれる。
こうした吉兆を呼ぶ魚としての鮎のエピソードはこれだけではない。神功皇后
は戦の前に鮎を釣り、戦況を占ったと一言われる。鮎を釣り上げることの難しさは
言うまでもない。釣り上げることが「吉兆」を意味する中で、「鮎」という文字
も魚編に占うと書いたものになったといえそうだ。
そうした鮎の存在は、昭和3年に行われた昭和天皇の大礼の儀式にも窺える。
即位の儀式である大礼の際に三叉の矛の先に掲げられる「萬歳旛」と呼ばれる真
紅の旗の中に鮎の絵が描かれており、縁起の良い魚として重要な位置づけにあっ
たようだ。


                         情報提供:日本養殖新聞

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